実のところ。
霧島・カイト、いや霧島・戒斗は実在した人間。地球人である。
10年前、自らと叔父を逃がす為に犠牲になった実父の最後の言葉に従って、
表には出さないが、強くなることを暗に自分自身に命じていた。
父が行方不明となった頃、偶然会った男に
「君が、君のその顔が、とても素晴らしい物になったら迎えに来てあげよう」
と告げられ、その場では何もされなかったものの、この1件は彼の心に深く突き刺さる事になる。
そして、今から7年前。
叔父を頼り、東京の高校へと進学した戒斗は何事もなかったかのように暮らしていた。
友人と共に帰り、雨に振られそうだ、という天気の時。
「君の、縋るものの居ないという絶望に染まった顔、それを見る為に迎えに来てあげたよ」
ーダモクレスに拉致され、友人共々揃って消息を断つ。
コレ以降、霧島・戒斗は行方不明だとされている。
そして入れ替わるかのように、雨男のダモクレスが現れるようになったとも。
壊れた傘をいつも差しており、生気のない瞳で語りかける、白髪のダモクレス。
俗に『降雨の男』と呼ばれている。
戒斗はカイトであり、『降雨の男』でもあった。
だが、『降雨の男』は戒斗をダモクレスに改造した結果生まれた存在であり、
今のところ、『降雨の男』は、カイトは、戒斗の記憶を持ち合わせていないように思われてる。
が、知らぬうちに戒斗の記憶をなぞり始めたカイトが、
突然戒斗に戻ってしまう可能性は否めない。
そして。
カイトは、今、こうしてケルベロスとして活動しているカイトは、
『降雨の男』が心を得たものなのか、記憶を失っている戒斗なのかは、はっきりしていない。
一方で。
たいやきと呼ばれる、珍妙なボクスドラゴンは、
そんな彼の闘争と無縁そうに、過ごしているが、
彼の真実は詰まった餡のように黒く、見通せず、未だ持って不明である。
□霧島・戒斗
カイトによく似た面影を持つ高校生。生存しているなら成人男性。
ケルベロスとしての才能があったためか、霧島本家からはある程度の自由を認められていた。
霧島家はデウスエクスに対する「生け贄」が発生しやすい血筋でもあったため、
遠からず贄にされてしまう可能性も目されていたためである。
弟(龍護)と同じく、氷属性への才覚があったが、
それが発現するのは、もっと先の話である。……もっと、先の。
IFとしての可能性を指摘するならば、
鹵獲術師×鎧装騎兵の地球人のケルベロスとなる可能性があった。
父親は霧島・迅龍。 霧島・龍河は叔父にあたり、
現在の霧島家本家の家長は伯父に当たる。
ようするに次男坊一家の長男。
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